15-4. ゲノム工学:遺伝子ターゲティングからゲノム編集まで
https://gyazo.com/c46126ed3d416a19ff66aa9dd02da825
【A】遺伝子ターゲティング
概要
デザインされたDNAを細胞に導入し、ゲノムの特定領域を改変する技術
確率的に両方の対立遺伝子が組換わることはほとんどない https://gyazo.com/b6ded6d24dbf8bc35fa94f926eb207d4
memo: 条件(コンディショナル)ノックアウトマウスの作製
さらにゲノムにP1ファージの組換え酵素Creの遺伝子を組込み、ある特異的条件下で発現できるようにする e.g. 誕生後の肝臓、薬剤での誘導
https://gyazo.com/62f41d87115bf3e22c856884e3432016
この細胞から作製したホモ変異マウスは、この時点ではまだ目的遺伝子は正常なため、ふつうに発生し生まれる
しかし図のようにデザインすると、誕生後に肝臓でCreが発言し、幹細胞中のもくてきDNAがloxP同士の組換えで抜け落ちてノックアウト状態になる このような操作により、誕生後の肝臓でのその遺伝子を解析することができる
【B】ゲノム編集
1) 背景と概要
遺伝子ターゲティングは変異動物の完成まで年単位の時間を要し、誰もが簡単に取り組める実験ではなかったが、この問題はゲノム編集により一気に解決された ゲノム編集のポイントは「特定ゲノム部位の切断」
ゲノム編集はDNA切断という単純な操作で遺伝子の特定部位を変異させることができ、操作時間もターゲティングに比べて格段に短い
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ゲノム編集ツールには以下のようなものがある
2) 初期に開発された方法
1990年代に発表された第1世代のゲノム編集ツール
制限酵素Fok IのDNA切断切断領域に3塩基認識の特異的なジンクフィンガーモジュールを複数連結した構造をもつ(二量体となってDNAを切断する) ただZFNは塩基配列認識の厳密性に難があり、あまり使われなかった
第2世代のツール
TALEはアミノ酸の違いによって特定塩基配列を認識することができるため、各塩基を認識するTALEモジュールを塩基配列に従って連結し、それをFok IのDNA切断領域に結合させる ZFNに比べ正確な塩基配列認識能を示す
3) 現在の中心的方法CRISPR/Cas9: 概要, 利点, 展開
sgRNAが標的ゲノム配列と相補的に結合すると、Cas9がDNA(PAM配列から3~4塩基標的側の部分)を二本鎖切断する
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本法は切断ツールとしてのCas9に共通に使え、後は標的配列を含む合成オリゴヌクレオチドを準備するだけでよく、時間、難易度、費用を軽減できるため、発表(2012)と同時に爆発的に拡がっている 受精卵にも直接応用でき、個体作製も最短約1ヶ月で終了する
DNAを切断するだけでなく、ヌクレアーゼ活性のないCas9であるdCas9にさまざまな制御因子を融合させて、目的遺伝子を活性化したり抑制したりする応用法もあり、さらにGFPのような蛍光タンパク質と融合させると標的遺伝子座の可視化ツールとしても使える sgRNAの標的配列がすべての遺伝子をもう網羅するゆおにしたライブラリーをつくると、遺伝子の機能スクリーニングの材料として使え、井手に試料やウイルス感染防御などのツールとして利用できる可能性もある
memo: CRISPR/Cas9法の課題
この方法ではsgRNAがPAM配列をもつことが必須だが、場合によっては標的配列の隣にPAM配列がない場合がありうる
また、sgRNA中の5'側の標的配列との塩基対結合が比較的ルーズなこともあり、本来の標的以外の部分(オフターゲット)も標的になりやすい Column CRISPR/Casシステム:細菌の獲得免疫システム
このような状態の細胞に以前侵入したファージやプラスミドが再度侵入すると、再侵入DNAに該当するcrRNAをもつ上記複合体がcrRNAの相補的な部分で結合し、ここでCas9が働いて再侵入したDNAが分解される
上述のシステムはタイプIIといわれ、ゲノム編集ツールのもとになっている
トランスジェニック動物
外来遺伝子は時期も場所もランダムにゲノムへ挿入されるため、生まれたマウスは導入遺伝子に関してキメラとなる 外来遺伝子を生殖細胞にもつマウスから生まれた仔は、ヘテロのトランスジェニックマウスとなり、それをもとにホモのトランスジェニックマウスも作出できる